【建設現場でがんばる若いゼネコンマンに伝えたい”ミス&リカバリーの日数は想定しておいた方がいいよ”という話】

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工事段階での現場定例。

会議の冒頭、工事担当者(施工者)から工程進捗について、報告・説明があると思います。

順調に工事が進捗している現場であれば、もちろんなんの問題もありません。
報告も「予定通りです」で終わり。
今後のポイントを説明したりして、和やかに会議は進みます。

しかし、工事に遅れが出ているとそうはいきません。
しかも、その遅れの理由が何か”これ”という原因があるならまだしも、”なんとなく遅れが拡大してきた”というと、ちょっと危険。
更なる遅れが見込まれるからです。

それでも、全体工期に影響無い範囲で納まりそうなら許せるかも知れませんが、”契約工期ギリギリいっぱい”なんてラインが見えてきそうであれば、クライアントもどっしりと構えてはいられません。

従って、会議は必然的にピリピリしたムードになります。

そんな中、クリティカルパスに影響する極めて難しい工事(作業)の場面を迎えたとします。
(具体例を出したいんですが、あまりに特定的になるので、抽象的に話します。)

その作業は後工程のために極めて精度良く施工しなければなりません。
しかし、現場状況から考えても、どんなに精度良く施工したつもりでも、若干の誤差が生まれる可能性がありました。
しかも、その誤差がわかるのは、後工程を施工し始める時です。
“マズい”となれば当然、是正・修正対応が必要になります。
つまり、一度作ったものを壊して、やり直す必要がある訳です。

壊すにも精度が要りますし、やり直しにはそれ以上の精度が必要です。
そして、これには当然時間が掛かる訳です。
3日、5日、1週間、10日
内容によりますが、相当の時間が掛かります。

そしてこれは、後工程に影響します。
どの程度の影響を受けるのか?

『最悪を想定し、事前にその腹づもり・備えを検討しなくては』

難しい作業だということで、我々プロジェクトマネジャーでも当然考えることです。

で、この点について、当の工事担当者の見解・考えを求めたところ、

「是正・修正が起きないように、万全の体制でしっかり検査を行います。」

『・・・』

『いや、そういうことじゃ無くて・・・』

要は、この担当者はリカバリーの方法を何も考えられていませんでした。
もっと言えば、この作業の難易度、それによるミス(誤差)が生じるリスクが全く理解できていなかった。

このような状態で、ミスが発覚したらどうなるのか?
その時点からのゼロベースでの動き出しになるので、当然初動が遅くなる。
必然的に全体工期に影響が出ることになります。

加えて、是正・修正を行うにも、それ相当の仮設的な難しさもあります。
本来、そこまで加味した上で、どのような対応をするべきなのか?を検討しておく必要があります。

結果、是正・修正が無ければ、それはそれが一番。

あくまでも、『万が一のトラブルに備えた検討をしておく』ことが大事になる訳です。

それが、”工事担当者として、全体工期を守る”ということにつながります。

『リスクが高い作業のミス&リカバリーの日数は、ポイントポイントできちんと想定しておいた方がいいよ』というお話しでした。

ちなみに、”万が一の備えがまるでできていない”ということがバレてしまったこの工事担当者は、これ以降もクライアントに信用してもらえると思いますか?

一度信用を失うと回復するのはかなり困難で、どんどん現場運営がやり辛くなってしまいます。
そうならないためには、常に危機感と責任感を持って、現場に向き合う気持ちが大切ですね。