建設現場でがんばる若いゼネコンマンへ 〜その12〜

Photo by voice_watanabe

【僕が現場でやらかしたこと、あれこれ(1)】

前回、大阪から東京に転勤になったところまでお話ししました。

東京に戻れば、なんだかんだで、なんと6年目を迎えます。
確か、主任になったかと?(7年目からだったかな?)

そんな僕ですが、それまでにしっかりやらかしていることがいくつもあります。
その中で、特に記憶に残っているものをお話し出来ればと思います。

3つあるんですが、偶然にも全て一年目の話です。
しかも、かなり序盤。
やはり、何もわかってないとトラブルも多いんですね〜。
まあ、トラブルというより、”若気の至り”的なところもありますが。

順不同でお話しします。

まず、ひとつ目です。

入社直後、3ヵ月間、研修配属されていた現場でのことです。
この現場は都内でもかなりの大型現場で、同期も僕含めて3人配属になりました。(そこから、2人は3ヵ月後に他の現場に異動になりました。僕はそのひとりです。)
一週間の本社研修の最終日に、各配属先の現場所長が新人を迎えに来ることになっていて、僕と同期2人も迎えに来られた所長に連れられ、現場に向かいました。
所長はとても温厚で紳士的な人でした。
とても安心したのを覚えています。

現場は着工間もなく、山留工事(SMW)に着手したところでした。
現場にも少し慣れてきたある日、杭打ち機で一軸の先行削孔を行なっている時、大きな地中障害に当たりました。
障害物の確認と除去のために、パワーショベルで掘り進めていきます。
直径1.5mくらいの石が出て来ました。
これを取り除くために、周囲を丁寧に更に掘り進めて、ようやく全体が見えるようになりました。
とにかく、”この状況を記録に納めないと”ということで、誰かが掘った穴の中に入り、リボンテープ(定規)を当てて、寸法写真を撮らねばなりません。
「俺達がテープ持ってるから、監督さん、写真撮ってよ。カメラも持ってるじゃん。」
と職人さんに促され、了解しました。(まあ、監督が記録写真を撮るのは当たり前ですよね)

しかし、穴の深さは約2.5m。
そこまで、どうやって降りていくのか?
基礎工事中ということで、特に必要も無いので、梯子は現場に無い状況でした。
すると、職人さん達がパワーショベルのバケットに足を掛け、オペさんが穴の中へひとりずつ下ろしていきました。
「いいよ〜」というオペさんの声で、僕もバケットに足を掛けて、念のために安全帯のフックをパワーショベルに掛けて、穴に下りていきました。

何か遊園地のアトラクションのような感じで、ドキドキとワクワク感がありました。
写真を無事に撮り終えて、再びバケットに乗って上がって来ました。
その間、5分くらいだったと思います。

上がっていくと、所長がいました。
「バカヤロー!何やってんだ!」
いきなり叱られました。
“優しい人”と思っていたので、かなり驚いたのを覚えています。
しかも、僕は仕事をしたと思っていたので、何が悪いかわかっていませんでした。
(まあ、”バケットに乗る”となって、『本来の使い方じゃないよね?』くらいはわかったのですが。)

所長が叱ったのは、”バケットに乗って”ということはもちろん”2.5m近い穴の中に、何の安全性も確認せずに下りていった”という行為そのものでした。
単純な話、土の崩落による生き埋めの危険性もありましたし、可能性は低いと思われますが、有毒ガスが発生して溜まっていることも考えられました。
何より、現場監督として、きちんと職人さん達と話をして、正しい行動が取れていなかったことに対する叱責だったと思います。

申し訳無いことに、所長からすぐに職長さんが呼ばれ(広い場内で他の班に着いていました)、叱られていました。
「頼むよ。こいつ、新人でよくわかってないんだから。」
と。
職長さんは、僕にも謝ってくれました。
今ならもちろん、所長の言ったこと、理解できます。
今なら、別のやり方で対応すると思います。
でも、あの時は「監督さん」と呼ばれて、『これは僕の仕事だ。モタモタして現場を止める訳にはいかない。やるしかない!』みたいなちょっと高揚した気持ちがありました。
現場を管理する上では、良くない感情ですよね。
焦った冷静で無い行動こそ、重大事故を引き起こす可能性があるので。
なので、所長の叱責は、今ならよくわかります。

この体験がベースになり、『現場は自分にとっても決して安全な場所では無い。でも、自分も含めて全員が安全に作業が出来る環境でなければならない。』という意識を強く持つようになりました。

これが、やらかした”ひとつ目”です。

※本記事ベースのVTube動画です。→ https://youtu.be/EkPSwpl8J0g