【好きな仕事がしんどい時の考え方】

Gerd AltmannによるPixabayからの画像

「好きな仕事なのにしんどい」

このような言葉が聞かれることがたびたびあります。
特に若手の方からの声に多いですね。

しんどいとは苦しいやツラいといったネガティブな状況なんだと思います。

しんどい状況を身体面とメンタル面で考えてみると、4つの事象が考えられます。

Ⅰ:身体的な負荷が小さく、メンタル的な負荷も小さい
Ⅱ:身体的な負荷は小さいが、メンタル的な負荷が大きい
Ⅲ:身体的に負荷が大きいが、メンタル的な負荷が小さい
Ⅳ:身体的な負荷が大きく、メンタル的な負荷も大きい

まず、Ⅰの場合。
非常に良い状況と考えられますね。
この状況下で、さらに仕事が好きであれば、充実した日々が過ごせるでしょう。

次に、Ⅲの場合。
”身体的な負荷”とは、例えば、「早朝から深夜までずーっと仕事で、食事を取ることもままならない。睡眠時間も当然少なくなっている。」という状況と考えられます。
でも、メンタル的なツラさはそれほど大きく無い。
長時間労働は認められない方向になっていますが、個人的にはメンタル的な負荷が大きいよりもダメージは少ない状態かな?と感じます。

では、ⅡとⅣの場合です。
よんの状況は非常に厳しい。
好きな仕事であっても、”好き”という気持ちがどんどん削られてしまうのでは無いでしょうか?
早急な改善が必要ですね。
IIの状況も良くありません。
例えば、”9時から17時のデスクワークで、通勤時間も1時間以内。土日祝日はお休み。”という状況は、一般的に言えば、身体的な負荷は大きく無いと言えるでしょう。
その状況であるにも関わらず、メンタル的な負荷が大きいというのは、”不安・迷い・畏れ”などに常に晒されているということになります。

ここが『この仕事が好きなのにしんどい』と感じる大きな要因だと思います。
どうやら、根本原因は”メンタルへの負荷”なんですね。
メンタルの状態が悪ければ、そのダメージは身体にも現れてきます。

ということで、この”メンタルへの負荷”にうまく対応できると、かなり状況が改善できそうです。

ところで、仕事でのメンタルの負荷ってなんでしょうか?
当然、”失敗できない”というプレッシャーがありますよね。

では何故、プレッシャーを感じてしまうのでしょうか?
そこには、自身のプライドや羞恥心もあると思いますが、上司・先輩、その他いろいろな人とのコミュニケーションが大きい要素だと思います。
部下・後輩が常に安心して仕事に取り組み、全力を出せるようにサポートするのも、上司・先輩の役目ですね。

ただ、一方で、そんなプレッシャーと戦う部下・後輩もメンタルへの負荷はある一定程度、自身の努力・成長によって改善できる余地があるとも思っています。

とは言え、いじめやブラック環境は論外です。
もし、「ブラックかな?」と思い当たることがあるなら、その環境(会社や組織)以外の信頼できる人に相談してみましょう。
そして、ブラック環境だとわかったら、積極的に逃げることをお勧めします。
恐らく、そのままそこに留まってもプラスなことは起こらないでしょう。
逃げることは決して恥ずかしいことではありません。
このお話しは、あくまでも、健全な職場環境の中で、それでも『この仕事が好きなのにしんどい』と感じている方々に対しての考え方のご提案です。

「しんどい」と感じている理由のひとつとして、『先が見えない』ということはありませんか?

例えば、仕事を指示されたんだけど、正解、つまり、『達成すべきゴールがわからない』とか。
日々、指示されたことを、わからないながらも、こなしているという状態。
自分が”できているのか?”、”できていないのか?”
それすらもよくわからない。

この状況を変える方法は、『この指示された仕事(作業)は何のために?』と考えてみる、調べてみることです。

例えば、建設現場の現場監督の例で言うと、「壁の補修するところの足場、段取りしておいて」と指示されたとします。

当然、その現場のその場所の状況によってまるで違うのですが、これ、その現場の状況次第で、どのような足場を用意すればいいのか?変わってくるんです。
用意する材料・職人さんへの指示など、やるべきことと順番がまるで違うんです。

『何のために?』から逆算して『何をしなければならない?』を紐解き、更にそれに『いつ?(いつまでに?)』という時間軸を重ねて、最適な手順・プロセスを導き出す。
この判断を適切に行い、実行する必要があります。

まさに”先読み”なんですね。

ところが、その先読みができていないと、役に立たない足場を用意してしまったり、使い勝手が悪い、非効率な足場を組んでしまったりするんですね。

で、足場組みは現場監督の指示のもとに職人さんがやる訳で、自分がやった仕事が無駄になった(指示が悪かった)とわかれば、職人さんから信用されなくなってしまう訳です。

ある程度、経験や訓練によって身に着くところはありますが、『何のために?』というゴールを意識できているか、いないかでは大きな差が生まれます。

そのためには、『ゴールが何なのか?』を知っている必要があり、ここが勉強のしどころです。

「今の仕事が好き」という人は、仕事について積極的に学ぶ気持ちがあると思うので、それほど難しいことでは無いと思います。
(現場時代の私は、著しくこの気持ちが欠けていたと思います。自戒を込めて。)

『何のために?』が見えてくると、いろいろな打ち手も同時に見えて来るんですね。
そうすると、自分の中でいろいろシミュレーションができて、自然と論理的な最適解が導き出せるようになります。

そうなれば、後は実行するだけです。
結果、うまくいくので、とても充実感を味わうことができます。

仮にうまくいかないことがあったとしても、自分でシミュレーションをしているので、どこでつまずいたのか?が確認・検証することができます。
なので、その失敗も自分の糧となって、成長していくということになる訳です。

この先読みをコツコツ続けていくと、現場の見え方が変わっていき、”現場がうまくいくためにどうすれば良いか?”、”このままでは、トラブルになるぞ”など、上司や先輩から指示されたこと以外にも、現場全体の先読みができるようになっていきます。

つまり、仕事全体を把握して、コントロールできるようになる訳です。

この『仕事をコントロールする』というところがとても大切なところで、自分がコントロールできる状況はあまりストレスを感じることは無いのではないでしょうか?

もちろん、クライアントや職人さんなど様々な関係者がいるし、現場であれば天候その他予期しないことが多々発生するのは常で、完璧にコントロールすることなどできないと思います。
しかし、それすら”先読み”できれば、想定範囲内に収めることも可能です。
ある意味、不可抗力的なトラブルにも冷静に納得感を持って対応することもできるのではないでしょうか?

理想は『仕事をコントロールする』ことです。
つまり、自分を含めた自分の環境をコントロールすることです。

その第一歩が、『何のために?』から始まる”先読み”です。

「好きな仕事がしんどい」と感じられている方は、もしかしたら、その仕事に関わっているということに満足して、仕事をコントロールできていないのではないでしょうか?

『仕事をコントロールする』を目標に、まずは『何のために?』という視点で自分の仕事を見つめてみては如何でしょうか?

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諏訪寛  (著) 形式: Kindle版