【こわい災害は“地震・津波・台風・洪水”だけじゃなかった~栃木県足利市の山火事におもうこと~】

Kevin EllisによるPixabayからの画像

栃木県足利市で発生した山火事が今日(2021年2月27日)で6日となりました。
報道によれば、足利市は「延焼はコントロールできている」とのことで、沈静化が期待できますが、空気の乾燥状態が続き、まとまった雨も降らない見込みとのことで、予断は許さない状況かと思います。
一日も早く平穏が取り戻せることが望まれます。

この山火事により、住宅地への延焼のおそれがあると、周辺の305世帯に避難勧告が出されたとのことです。

大規模な自然災害として、“地震・津波・台風・洪水”などはイメージにありましたが、“山火事”は正直、頭にありませんでした。
(ただ、山火事は人為的な原因が考えられるそうで、自然災害と言えるか微妙かも知れませんが)

もちろん、山火事自体は知っていましたが、アメリカやオーストラリアなど外国の話であって、日本ではそれほどの危機になるようなイメージはありませんでした。

大規模火災と言えば、記憶に新しいのが2016年12月の“新潟県糸魚川市の大規模火災(糸魚川市駅北大火)”です。
約30時間続いた火災で、約40,000㎡、147棟に被害が出たそうです。
ひとつの火事からこれだけ被害が拡大してしまうというのは、非常に衝撃的でした。

阪神淡路大震災の時も大規模な火災に見舞われましたが、巨大地震に起因するものであり、さらに地震の影響で消火のための水が使えないという状況でしたので、これは明らかに地震による被災と言えると思います。

今回、改めて山火事のこわさを感じました。

例えば、地震に対しては耐震・免震、台風に対しても鉄塔が倒壊したり屋根が飛ばされたりの被害がありますが、基本的には耐風圧を計算された建物・工作物が建てられています。
津波・洪水に関しては、建物によっては浸水を防ぐ設備を備えているものもありますが、規模が大きくなれば、それで防ぐことは不可能です。
なので、堤防や盛土・かさ上げで水が襲ってくるのを防ぐ、襲われたとしても被害に合わない場所を造るといった対策を立てていると思います。

しかし、大規模火災については、どうでしょうか?
ただ、実は、この大規模火災に対する対策が一番難しいのではないか?と思いました。

一般の住宅にしても、一定の耐火性は有していますが、周辺全てが火災に見舞われている中、無事でいられるような仕様にはなっていません。

つまり、大規模火災に対しては、地震・津波・台風・洪水とはまた別な対策が必要になるということです。

「山火事に合わないようにするには、山間部に住まなければいい」と思うかも知れませんが、糸魚川市のような都市部では、住宅が密集しているがゆえに被害が大きくなるということがあります。

安全な場所の選定というのは、とても難しいということだと思います。
(実際、多拠点化を考えている身としては、今回の山火事のニュースはいろいろ考えさせられました)

となると、改めて思うのは、

『生活フィールドの多拠点化』
『動く家の実現』

です。

これは以前のブログでも時々書いていますが、やはり、いざという時に逃げることができて、体制を立て直す準備ができる拠点がすぐに確保できること。
あるいは、自分の生活拠点(家)ごと災害が起こった場所から逃げることができることがポイントになってくるんじゃないかと思います。

奇しくも、新型コロナウイルスでリモートワークをはじめとした“リモート”がクローズアップされ、あっという間に世の中に浸透していきました。
リモートとは、単純に言えば「通信環境さえ整えば場所を選ばない」ということです。
であれば、家、自分の居場所・拠点がその場所・地域に縛られることは無いわけです。

もちろん、その地域・土地に根差して仕事をされている方は、“その地を離れる=仕事ができなくなる”ということになるかと思います。

ただ、何らかの災害に見舞われた時、まずは“自分の身の安全・命を守る”、“いち早い反転攻勢のための状況を整える”という意味では、”多拠点化・家ごと移動”という意識は持っていても良いのでは?と思います。

と言っても、これを実現するには、より多くの分野でのテクノロジーの進化・融合が必要ですし、制度や仕組みも進化しなければならないでしょう。

自身としては、その未来へのアクションのベースが風の谷構想、“風の谷ヴィレッジ”(過去記事【風の谷ヴィレッジ】)です。

年々大規模化する自然災害に対して、テクノロジーの進化を期待しながら、自分個人としてできることにチャレンジしていきたいと思っています。

ゼネコン現場監督出身の現役建築プロジェクトマネジャーが語る『ツラい現場を経験した今も建設業界で生きている人間の実例』 Kindle版
諏訪寛  (著) 形式: Kindle版