【『まずは、知ってもらわないと始まらない』という話】

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お仕事をさせて頂く上で、自分のことを知られていることは大切です。

当たり前の話ですが、どんなに良いものでも、どんなに良いサービスでも知られていなかったら売れないので。

そうなると、順番としては「知られる」方が先なんですね。

お客さんを分類すると、”知らない(から買わない)お客さん”、”知った上で買うお客さん”、”知った上で買わないお客さん”の3パターンがあります。

これでわかるのは、まず知ってもらわないと、買うか?買わないか?の土俵までいかないということです。

このことを僕自身が痛感したことがあります。

それは、15年前、勤めていた建設会社を辞めて独立した直後です。

当時僕は、”普通の人は建築知識が無いため、住宅建設やマンション購入などの際に、いろいろトラブルがあったり希望のものを諦めたりしているケースがある”と聞いていました。
『僕の知識や経験を使って、建築知識が無い人達に寄り添ってサポートすることができるんじゃ無いか?』
そう考えていました。

『お施主さんと設計者・施工者、またはデベロッパーの間に建築コンサルタントとして立って、プロジェクトをベストな方向に導く。みんなの役に立って、みんなを幸せにできる。』

そのイメージはしっかりあって、やる気は満々でした。

しかし、ハタと気が付きました。

『あれ?誰が俺に仕事を頼むんだ?』

そうなんです。

今考えるとめちゃくちゃ怖ろしいのですが、まるで顧客獲得の目処が立っていなかったんですね。

“自分は人の役に立とうとしている”
“困っている人も一定数いる(はずだ)”

“だから、その人を見つける(または、その人に自分を見つけてもらう)ことができれば”

という”空想”だけだったんですね。
本当に怖ろしいです。

さすがに、何の準備も手立てもできていなかったことに気づいて、慌てて営業活動を始めた訳ですが、当時はTwitterやInstagramやYouTubeも無く、できたのはサイトの立ち上げとメールによるDM営業。
ポスティングも考えましたが、あまりの確率の悪さに躊躇しました。
そもそも、基本的な準備が整っていないので、中途半端な状態が続き、まったく好転しない日々が続きました。

『価値があるサービス・役に立つサービスを提供すれば、ニーズはある』
自分は商品を棚に並べたつもりで、後はお客さんが見つけてくれるだろう、とかなりでっかい致命的な勘違いをしていました。

『このままでは死ぬ』

そう思ってゼロベースで考え直し、自分の得意技と得意な場所を考え、建築コスト技術者を求めている会社にアプローチしまくって、どうにか仕事を確保した感じでした。
(しかし。思えば、これが建築コストマネジメントの始まりでした)

会社員時代は、”仕事を取ってくる”なんていうことは正直考えたこと無かったですね。

もちろん、営業ということ事態は知っていましたが、本質はまるでわかって無かったということです。
しかも、独立するということは、仕事が取れなかったら、そのまま収入が無いということです。

本当に怖ろしいですね〜。

ただ、この経験から、

『「売れる売れない」以前に、知ってもらわないと話にならない』
『「売れること」ということよりもはるかに「知ってもらうこと」の方が大事だ』
『営業ってめちゃくちゃ大事だな〜』

ということが身に染みてわかりました。

これ以降は、お金をかけてサイトを整備して、自分の実績とできることをわかりやすく見える化しました。
その上で、自分のスキルがはまりそうなところにピンポイントでメールを送り、仕事を獲得していきました。
幸いに何社かに継続してお付き合いして頂けたので、多少仕事が安定していきました。

何とか危機的状況を抜け出して改めて感じたことは、『きちんと準備をした上で、見つけてもらうことを期待するのではなくて、見つけてもらう為のコストをきちんと割いて、自ら行動していくことが大切だ』ということでした。

ということで、『まずは、知ってもらわないと始まらない』というお話しでした。

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